「家は資産か負債なのか」
 
私事で恐縮ですが、私の母が兄弟がみな巣立った時に「あたしゃ便利な都会でマンション暮らしがしたいのよ!」とのたまって私らの育った所沢の実家を問答無用に売っぱらって都内の閑静な住宅街の中古マンションを購入したのが20年ほど前。
諸事情があり数年前にそのマンションを売ったのですがなんと黒字になりました(私の財布には入らない話ですよ、あらかじめ言っときますがw)

分析してみると三点ほどのポイントがあります
・都内で便利かつ閑静な人気のあるエリアである
・RC(コンクリート)という長期に渡る寿命がある躯体性能であること
・そこそこお洒落かつ管理の良い物件であったこと
 
価値というのは「欲しがる人がいる」という意味にほかなりません。筋肉マン消しゴム(古!)に3万もの値がつくのは欲しがる人がいるからです(^_^;)
きちんとした性能がありデザイン性と管理が良ければ、年数経った中古マンションであっても利便性が良く環境のいいエリアに住みたいという人の価値になったのだと思います。

家を建てる、もしくは購入する時には住宅ローンを使うのが普通です。その場合家は会計的には資産ではなく負債と言うべきという話があります。収入を生み出さず売ってもローンと相殺、もしくはローンが残るものは負債なのだそうです。
この考えは、建物は年数経てば価値がなくなるという考えが前提です。確かに古民家ならともかく戦後に量産された家は安普請で30年も経てば「欲しがる人」はいなかったからです。家に手を入れて価値を保つという文化が無かったのも原因です。

さらにかつてバブルの頃は土地の値段は上がり続けるという神話がありました。家は「上物」扱いで土地の付属品としてしか考えられていませんでした。土地が資産で上モノはおまけだったのです。
今でも土地に元の値段は残るという神話が残っていますが、最近の空き家問題を見るにつけ「欲しがる人」との乖離は大きいようです。

政府は中古市場の活性化を図って様々な法制度を作ってきています。ただその為には「欲しがる人」と「売りたい人」との意識の乖離を埋めなければいけません。
自分の家が資産になるかどうかは欲しがる人が現れるかどうかでしかありません。土地の環境や利便性等の条件は欲しがる人によって変わるかもしれませんし、それはどうしようもありません。
ただ、家の躯体性能(木造でもきちんと作ってメンテナンスすれば100年経っても健全です)、快適さ(断熱、その他)、デザイン性などは造ることができます。メンテナンスも含めて「欲しがる人」を作ることが資産になるのです。

そしてもっとも大事なことは自分がそこに住むということです。
住環境や家族環境が良い家に住むということは「健康」につながります。断熱一つとっても、高断熱の家に住む人は健康改善の効果があるというデータが出ています。
「健康」こそがもっとも大事な資産です。健康を損なえば医療費が出ていくだけではなく収入にも影響します。健康であればこそ幸福に過ごせます。

これらを総合して考えてデザインこそが家を資産にするものなのだと強く 我田引水 主張したい今日このごろなのです。